本物も偽者も

隣の部屋では、右は鬱病。左は子供が毎晩ギャーギャー泣いて外にだされている。
異常なコントラストの中に挟まれている住環境な、これ。
今日は休みで、白昼堂々部屋の掃除や洗濯しちゃおうなんて思って、でも減ってるからね、ままよ、まず飯だなめしとコンビニへ。お腹すいたときは「へったー!」というよ。

そんなんで、思い切って外に飛び出すと、隣のうつ病さんがいた。
「こんちわ、おひさしぶり。病気のほうはどうですか」と聞くと長い話が始まってしまった。まぬけに聞いて要約すると、「すごく暇で考える時間がいっぱいあって焦るばっかりだけど薬で思うように体が動かない。なにかしないと、そうだ、あなた車ずっと洗ってないでしょ、よかったら僕に洗わせてくれないですか、赤は退色しやすいから気になって気になってしょうがないんですよ」とのこと。

あたしゃちっとも気になんないけど、人助けだと思って車洗ってもらった。
付き添うのは面倒なので、車の鍵だけ貸したら2時間後に帰ってきた。
車はペカペカ。話が長いので、その人の部屋にお邪魔した。
その人の話題の繰り返し加減といい、どもり加減といい部屋になんにもない様子といい、冷蔵庫はなんっにも入ってない。一度も使ったことがないんだそうだ。
冷蔵庫使わないんだったら、あたしのボロと取り替えて欲しいね。
アパートの周りをいつも掃除していたし、神経質なんだろうな。
会うたび毎回言われるんだけど「ごめんなさい、夜うるさいでしょ?」と謝られる。
なんにも聞こえてこないんですけど。

なんだか知らないけど、この人は本物なんだなぁと思った。
つきぬけちゃえば楽なのにね。常人に突き抜けることは難しいけど、本物なら簡単やろうと勝手に思ってますが。


まぬけに話を聞いていたらこっちがうつろになってきたので、自分の部屋に帰りました。

以前、バンドのスタジオをしている「おっちゃん」が家庭崩壊やらいろんなストレスで誰から見ても狂ってる風になった事があって。
精神病院に連れて行かれた彼は「オレはこんな薬なんか飲まんど!!!頭がおかしくなるわ!!!」と激怒、治療をまったくうけなかった。
今は、スタジオも続けて楽器店を2店舗経営している。
なんだかね、それが正解だったのかって今になって思う。

しんどいときはやはり、耐えて燃えるしかない。シャー。